SSD キャッシュ
SSD キャッシュは、頻繁にアクセスされる小さなファイル (ランダムに配置される小さなデータブロック) を、ボリュームまたは LUN にマウントされた SSD キャッシュの SSD に格納することにより、ランダムアクセスのパフォーマンスを向上させます。
SSD キャッシュを有効にする目的は、ストレージ スペースで頻繁にアクセスする小さいデータ部分へのランダムアクセスの性能を高めることです。たとえば、大きいシーケンシャル読み書き操作(HD ビデオ ストリーミングなど)と、データのランダム読み取りパターン全体の両方には再読み取りパターンがないため、SSD キャッシングの利点をあまり受けません。一般的なアプリケーションでは、[シーケンシャル I/O を省略する] オプションを有効にして、シーケンシャル I/O がストレージ スペースのドライブにパススルーするようにします。
注:
- SSD キャッシュは特定のモデルでのみ利用可能です。SSD キャッシュをサポートするモデルについては、こちらをご覧ください。
- Synology 製品互換性リストのドライブを使用して互換性の問題を防止してください。互換性のないドライブを使用すると、システムのパフォーマンスが低下し、データの損失が生じることがあります。
- DiskStation で使用できる SSD キャッシュの最大サイズについては、Synology のホームページでご使用モデルの製品仕様をご確認ください。
SSD キャッシュ タイプ
SSD キャッシュには2つのタイプがあり、どちらも LRU (Least Recently Used) アルゴリズムを導入してキャッシュのデータを入れ替えます。
- [読み取り専用キャッシュ] は 1 台から 12 台の SSD で構成できるほか、RAID 0 のキャッシュ RAID タイプに設定することで、それがマウントされているストレージ スペースのランダム読み取り速度を向上させることができます。
- [読み取り/書き込みキャッシュ] は 2 台から 12 台の SSD から構成できるほか、RAID 1、RAID 5、または RAID 6 のキャッシュ RAID タイプに設定することで、それがマウントされているストレージ スペースのランダム読み書き速度を向上させることができます。
注:
- SSD 読み取り専用キャッシュは、ボリュームからデータのコピーを保存します。したがって、読み取り専用キャッシュがクラッシュしたとしても、データは消失しません。
- SSD の読み書きキャッシュが劣化した場合、自動保護メカニズムが有効化されます。これは、新しい IO のキャッシュを停止し、SSD から HDD に既存の新しいデータの書き込み (すなわち、同期) を開始します。データの同期が完了したら、読み書きキャッシュがクラッシュしたとしてもデータは消失しません。
- 通常の状況では、SSD の読み書きキャッシュは、まだ HDD と同期していない新しいデータを含んでいます。ストレージ マネージャからキャッシュを削除するまでは、(たとえシステムの電源がオフになっている場合であっても) Synology NASから SSD を取り外さないでください。そうでないと、ボリュームがクラッシュすることがあります。
メモリ要件
SSD キャッシ ュは一定の量のシステム メモリを必要とします。割り当てるキャッシュ容量が大きいほど、システム メモリが多く必要になります。ただし、DiskStationの安定性を維持するために、SSD キャッシュにはプリインストール済みのシステム メモリの 4 分の 1 しか使用できません。大容量の SSD キャッシュを作成する場合は、DiskStation のメモリをアップグレードする必要があります。
注:
- 最大キャッシュ サイズは、Alpine CPU を使用する DiskStation モデルの場合、930 GB に制限されています。DiskStation で使用されている CPU の種類を調べるには、こちらを参照してください。
1 GB の SSD キャッシュ毎に、約 416 KB のシステム メモリが必要です(拡張可能なメモリも数えられます)。したがって、読み取り専用キャッシュが RAID 0 を使用し、その構成が 2 x 128 GB SSD である場合、合計のキャッシュサイズが 256 GB になり、最低でも 104 MB のメモリが必要になります。読み取り/書き込みキャッシュが RAID 1 を使用し、その構成が 2 x 128 GB SSD である場合、合計のキャッシュサイズが 128 GB になり、最低でも 52 MB のメモリが必要になります。メモリが不足している場合、SSD キャッシュの構築が制限されるか、SSD キャッシュのサイズが制限されます。
注:
- 上述は、DSM 5.1 またはそれ以前のバージョンで作成された読み書き SSD キャッシュには該当しません。DSM 5.2 環境で使用していたとしても、DSM 5.2 以前のバージョンで作成された SSD キャッシュ 1 GB ごとに、4 MB のシステムメモリが必要となると言うことです。
キャッシュのヒット率
SSD キャッシュはデフォルトではランダム I/O だけを高速化し、シーケンシャル I/O は高速化しません。SSD キャッシュのキャッシュ ヒット率は次の式で計算できます。
- SSD 読み取り専用のキャッシュのヒット率 = 高速化されたランダム読み取りカウント / 総ランダム読み取りカウント * 100%
- SSD 読み取り書き込みのキャッシュのヒット率 = 高速化されたランダム読み取り&書き込みカウント / 総ランダム読み取り&書き込みカウント * 100%
SSD キャッシュの管理
SSD キャッシュを作成してマウントする:
- DiskStation に SSD をインストールします。上記の注意をお読みください。
- [ストレージ マネージャ] > [SSD キャッシュ] を選択します。[作成]をクリックします。
- キャッシュ モードを選択します(読み書きキャッシュに対応する DiskStation モデルでのみ使用できます)。
- ドロップダウン メニューから SSD キャッシュをマウントする先のボリュームまたは LUN を選択してください。
- リストから SSD を選択します。SSD 上のデータはすべて消去されます。SSD に重要なデータが保存されていないことを確認してください。
- [適用] をクリックします。
シーケンシャル I/O のキャッシングを停止する:
ターゲット ボリュームまたは LUN のシーケンシャル I/O の性能が良い場合は、SSD キャッシュがシーケンシャル I/O をキャッシングするのを停止させて、ドライブから直接データにアクセスさせると、速度を上げ、性能を高めることができます。
- [構成] をクリックして構成ウィンドウを開きます。
- [シーケンシャル I/O は省略する] にチェックマークを付けます。
SSD キャッシュを取り外す:
- [削除] をクリックすると、この SSD キャッシュを DiskStation から完全に削除できます。
注:
- 読み書きキャッシュの場合は、この手順で削除しなければ(DiskStation の電源が切ってあったとしても)、キャッシュにしか一部のデータが存在しないため、ボリュームがクラッシュします。
- SSD キャッシュをマウント、または取り外すときには、システムは関連するサービスをすべて中断します(共有フォルダ、インストールされたパッケージ、現在の接続など。)
- スタートアップ時にストレージ スペースの読み書きキャッシュが検出されなければ、システムはそのストレージ スペースをマウントしません。DiskStation で SSD を検出して再インストールし、ストレージ スペースをマウントするためにリブートしてください。
- 関連の SSD を取り外す前に、読み書き SSD キャッシュを適切に削除するようにしてください。SSD を不適切に取り外すと(例:キャッシュが使用中またはシステムがオフになっているときなど)、ターゲット ボリュームまたは LUN に保存されているデータがクラッシュします。
SSD キャッシュの削除をキャンセルする:
- 削除のプロセスをキャンセルするには、[削除をキャンセル] をクリックします。
SSD キャッシュを修復する:
- 読み書きキャッシュ:SSD の 1 台がクラッシュした場合は、次の手順にしたがって修復してください。
- 故障した SSD を新しいディスクと交換します。(新しい SSD は元の SSD と同じまたはそれ以上のサイズである必要があります)。
- [修復] ボタンをクリックします。
- リストから SSD を選択します。
- [適用] をクリックします。
- 読み取り専用キャッシュ:SSD の 1 つがクラッシュした場合は、キャッシュを取り外して故障した SSD を交換してください。次に、[作成] をクリックして新しいキャッシュを構築します。
SSD キャッシュ アドバイザー
この機能は、特定のボリューム上で最近アクセスしたファイルのサイズと数を計算し、表示します。選択したボリュームで SSD キャッシュが作成されていない場合は、この情報はご使用のシステムにどの程度の SSD キャッシュ容量が適しているかを評価するときの参考情報となります。選択したボリュームにすでに SSD キャッシュが作成されている場合は、キャッシュ分析と使用量も表示されます。
SSD キャッシュ アドバイザーを実行:
- [SSD キャッシュ アドバイザー] をクリックしてウィザードを起動します。
- 計算するボリュームを選択し、[次へ] をクリックします。
- ウィザードが特定のボリューム上にある最近アクセスしたファイルのサイズと数の合計を計算し始めます。計算回数は、それぞれの環境によって異なります。